仕事は社会・業界の行動規範の範囲内で実施します
法令、組織の規則、社会通念、業界通念
研究業界(学界+その周辺)にも特有の規範=研究倫理があります
本講義の目的: 研究コミュニティに身を置く者が研究倫理逸脱で失敗しないようにすること
崇高な研究哲学論ではなく、実際的な自衛の話
極言すると
研究倫理とは
研究で対象社会に
研究公正とは
研究で
対象社会は日本や学界も含みます
研究は社会と契約を結んで実施しています
よって、これらは最低限の原則です
それでも足をすくわれる研究者はいます
どう判断すれば分からなくなったとき、大原則に戻ると考えやすいです
ごまかしのある研究は社会に迷惑をかけるように、研究公正と研究倫理はきれいに分かれず、相互に関連する部分があります
研究公正の鳥瞰図研究 が示す研究公正のキーワード: honest, rigorous, transparent, open, respect and stewardship of research, care for the people of research.
研究公正 research integrity
写真はJAXA記者会見映像からキャプチャしました
See a list of QRPs used in Dutch national survey (DNSRI) summarised here
FF(P) 8.3% engaged in any FF(P).
QRP 51.3% engaged frequently in at least 1 QRP.
Beh&Soc.Sci 5.7%
Beh&Soc.Sci 50.2%
Gino: HBS給与は1.4億円+印税+講演料、ばれなければ大金
結構ばれる: Ginoは追試、食品衛生部長は内部通報、Islamは経済学界の再現可能性指向
貧乏くじ
オッズをよく知らないまま、自ら進んで引くのは賢くない
The university’s top governing board, the Harvard Corporation, decided this month to revoke Francesca Gino’s tenure and end her employment at Harvard Business School. (WGBH news)
時間がない
Fabrication, falsification、plagerism回避のルール
ある程度の理解があれば、データさえ与えると実証論文は書ける
ある程度の理解があれば、データさえ与えると実証論文は書ける
研究倫理 research ethics
個人情報保護、人権・動物の権利保護など
インフォームド・コンセント、研究の正確さ、貢献の正確さ、研究協力者の表示、など
最後の3つはMacartan HumphreysのHow to critiqueから抜粋
途上国研究における研究倫理8ポイント (Emanuel, Wendler, Killen, and Grady, 2004)
殆どの社会科学研究(=観察研究)
企画段階:
実施段階:
分析段階:
JAXAの研究倫理・研究公正違反 (2016-2017)
2014年に、
分科会の意見に耳を傾けず 有人部門のみの判断で、審査迅速化を目的に、評価要領が改訂され、分科会の進捗評価は(引用者追記: 不承認が削除され)継続妥当・見直し必要の2択となっていた。 継続妥当となった場合でも多くの重要な指摘事項があったが、それらの指摘事項を担保する仕組みが無かった。
佐々木理事
JAXAが
しっかり認識し、ルールを作ったことは間違いない 。一方、研究者一人一人が理解すべきだったが、末端まで伝わっていなかった。教育、指導を働きかけねばならなかった。
有人宇宙技術部門小川事業推進部長(当該研究の研究実施責任者(古川宇宙飛行士)の上司)
JAXAとして、人の安全を守るという
医学研究の理解度、練度が本当に低かった のでは。STAP問題があった時、(研究者は)自分のこととして納得しなければならなかったが、果たして医学研究ではどうだったか。深堀りして確認していなかったからこそ、この状態になった。今こそ振り返り、是正すべきだ 。
研究費は文科省科学研究費補助金(科研費)とJAXA予算を合わせ、約1億9000万円。佐々木理事はこの研究は
成果として発表しておらず、特定不正行為には当たらない とした。その上で「研究計画が稚拙で、十分な科学的合理性がなかった。 JAXAに医学研究の難しさの知見がなく、研究チームの人数が少なく体制を整えず、無理になってしまった。実験データが個人情報のためアクセスできる人を限ってしまい、周りが十分にチェックできなかった。国民の負託に応えられず、実験協力者の善意も裏切り深くお詫びする。一丸となって再発防止に取り組む」とした。
この指針は、我が国の研究者等 により実施され、又は日本国内において実施される人を対象とする生命科学・医学系研究 を対象とする。 厚労省「指針」第3「適用範囲」1「適用される研究」
最も問題なのは、科学的合理性のある研究計画が検討されておらず、かつ科学的に適切な方法で遂行されなかったことであり、またそのように努めなかったこと (調査報告書)
倫理審査委員会や分科会での
指摘事項に十分応えることなく研究を進めようとした研究チームの不誠実な態度 、それを容認してしまう倫理意識の欠如も背後要因となった。 調査報告書(p.19)
倫理審査委員会に提出した研究等実施計画書(第 3 回閉鎖試験)に「分科会において、妥当な計画であるとの評価を受けた」と
虚偽の事実が記載 されていた 同(p.22)
研究者としての
適性を見極めず医師であることを理由に研究計画の策定から実行まで を実施させた 同(p.24)
References